省エネ法の計算書は、公式プログラムを利用することで簡単に自作が可能
建築物省エネ法の適合義務化に伴い、「外注せず社内で計算まで完結させたい」と考える設計者は非常に増えています。特に戸建て住宅や小規模な共同住宅であれば、適切なツールと手順さえ押さえれば、設計者自身で十分に計算・書類作成が可能です。
この記事では、国立研究開発法人 建築研究所が提供する公式Webプログラムを活用し、自力で計算を行うための全体手順や必要な準備図面を詳しく解説します。
計算不要で手軽な「仕様基準」と、断熱仕様を最適化できる「外皮面積計算(計算シート+Webプログラム)」の違いや選び方、さらには共同住宅での評価手法や確認申請をスムーズに進めるための注意点までを網羅しました。
この記事でわかること
- 公式省エネWebプログラム(国立研究開発法人 建築研究所)の概要と利用手順
- 「仕様基準(簡易計算)」と「外皮面積計算(標準計算)」の違いと選び方
- 戸建て住宅・共同住宅それぞれの省エネ計算実務フロー
- 省エネ適合性判定(省エネ適判)に必要な提出書類・図面一覧
- 自作か外注かを判断する「コスパ・難易度基準」と用意すべき資料
実務に役立つ「建築物省エネ法」詳細ガイドシリーズ(全体目次)
省エネ計算を自社で完結させたい意匠設計者のための実務マニュアル一覧です。ご自身の案件に合わせて必要なステップをご覧ください。
- [No.1] 【2026年 住宅版】計算書の自作を目指す設計者のための建築物省エネ法の全体像と基礎知識ガイド
- [No.2] 【住宅・共同住宅】省エネ計算実務ガイド|仕様基準 or 外皮面積計算の選び方とWebプログラム活用法
- [No.3-A] 仕様基準による外皮適合設計の完全マニュアル|告示に基づく具体仕様と設計ポイント(準備中)
- [No.3-B] 実践マニュアル|住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート(Excel)入力マニュアル(準備中)
建築研究所「住宅・建築物省エネWebプログラム」の概要とアクセス先
公式Webプログラム(国立研究開発法人 建築研究所)とは?
建築物省エネ法に基づく計算・評価において、国内で公的に認められている標準ツールが、国立研究開発法人 建築研究所が提供する「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」です。
設計者はブラウザ上から無料で利用でき、入力したデータに基づいて外皮性能(\(U_A\)値・\(\eta_A\)値)や一次エネルギー消費量(BEI)の判定結果を自動で算出してくれます。
- 公式ツールリンク: 国立研究開発法人 建築研究所 住宅省エネWebプログラム

【重要】「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」URL変更の注意点
2026年12月1日より、本ポータルサイトおよび各種計算プログラムのURL(ドメイン等)が変更される予定となっています。
国立研究開発法人 建築研究所 技術情報トップページをご確認ください。
外皮性能の評価方法の選択肢(標準計算 or 簡易計算)について
プログラム内では外皮性能の評価方法によって主に3つの選択肢がある
住宅も共同住宅も、「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」を使用して、設計している建物のBEI値を計算しBEI ≦ 1.0を達成するのが目的です。
それぞれ、計算プログラム内の入力項目の一つである、建物の外皮性能の評価方法によって3つの選択肢があります。

どのルートを選択するかの判断基準は、建物の規模や設計の手間、目指す省エネ性能に応じて判断します。
- 1. 外皮面積で評価する方法
-
(標準計算ルート)
専用の補助入力ツール(エクセルシート)を使って、柱や壁、窓の面積をきちんと拾って計算し、建物本来の正確な「UA値」「ηAC値」を算出します。
各部位の入力の手間はかかりますが、断熱材の厚みや窓の性能を合理的に設計できるため、過剰設計となりにくく建設コストダウンを図れます。
また、断熱等級6や7といった最高レベルの性能を証明できるため、BELSやZEHなどの上位申請、こだわりの高気密・高断熱住宅の設計ではこちらを使用します。
- 2. 仕様基準で評価する方法
-
(簡易計算ルート)
面倒な外皮面積計算を一切行わず、国が告示で定めた「仕様(断熱材の厚みやサッシの性能の地域基準)」をクリアしているかどうかだけで外皮性能を判定します。
「確認申請(省エネ適合性判定)」のみを通したい場合で、かつ面積計算の手間を省きたい場合に使用しますが、外皮性能の評価が厳しめに設定されているため建設コストアップにつながりやすいというデメリットがあります。
- 3. 誘導仕様基準により外皮性能を評価する
-
(「長期優良住宅」や「低炭素建築物」の認定申請に使用)
評価の性能ラインは仕様基準とほぼ同じZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準である「断熱等性能等級5」および「一次エネルギー消費量等級6」を満たす基準ですが、法律上の建付け(告示)が異なっており、長期優良住宅や低炭素建築物の認定を受けるための「誘導基準」をクリアしているかを証明するためのものとなっています。
【住宅・共同住宅別】WEBプログラムでの計算方法と実務フロー
外皮性能の評価方法の選択も含めて、建築研究所のWEBプログラム(住宅版)の実際の使い方の手順について解説いたします。
住宅と共同住宅で一部の使用するプログラムと手順が異なります。
- 戸建住宅の場合
-
STEP標準計算ルート or 簡易計算ルートを選択する
- 標準計算ルート(外皮面積で評価する方法)
-
本プログラムを使用する前に、補助入力ツールである「住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート(エクセルファイル)」を入力する必要があります。
建物の外皮面積、部位ごとの断熱性能などを事細かく入力していくため非常に手間がかかります。
ただし、断熱仕様や開口部などに事務所の標準仕様が定められている場合、一度作成した入力シートを使いまわすことができるため、計算書を事務所内で自作するメリットが大きくなります。
別記事にて「住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート」入力マニュアルを用意しておりますので是非ご利用ください。
「住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート」のダウンロードはこちら

「住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート」への入力が完了したら、ファイルを公式ページの「住宅・住戸の外皮性能の計算プログラム」にアップロードすることで、本プログラムを実行させるのに必要な数値である、外皮面積の合計、外皮平均熱貫流率(UA)、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)、暖房期の平均日射熱取得率(ηAH)が自動で計算されます。
入力方法を理解するのが大変ですが、慣れると非常に使いやすい優れたシステムだと思います。
- 簡易計算ルート( 仕様基準 or 誘導仕様基準 で評価する方法)
-
仕様基準を選択した場合は、面倒な「住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート」を使用する必要はありません。
建設省告示「住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準(発令:平成28年1月29日国土交通省告示第266号、最終改正:令和6年6月28日国土交通省告示第975号)」に定められた性能以上の設計を行うだけです。
省エネ法仕様基準による外皮適合設計ツール|告示に基づく仕様一覧(準備中)
STEPエネルギー消費性能計算プログラムに残りの条件を入力して実行1次エネルギー消費計算プログラムにSTEP1で取得した外皮性能の数値と、基本情報、残りの条件である導入する設備(エアコン、給湯器、換気、照明、太陽光発電など)の仕様を入力します。
「仕様基準で評価する」方法を選択した場合は、「外皮」の項目内のチェックボックスを選択するだけです。
プログラムに入力中の各数値は「保存」ボタンでローカルPCに保存可能です。
再編集、再計算を行う際は、「読込」ボタンで入力データを再アップロード可能です。「計算」ボタンでプログラムが実行され、計算結果が表示されます。

エレルギー消費性能計算結果の表示例 計算結果は「PDFで出力する」ボタンで出力が可能です。
STEP計算書の正式な提出には「省エネ計算結果登録システム」を使用STEP2で作成した計算書を適判機関に正式に提出するには、「省エネ計算結果登録システム」の利用が必須です。
公式WEBページにアクセスして、エネルギー消費性能計算プログラムで出力した計算書(計算結果 PDF)をアップロードして「省エネ適判申請用計算結果PDF(電子割印・刻印付き)の作成」を行います。
- 共同住宅の場合
-
共同住宅の計算手順もおおまかには住宅と同じですが、各住戸ごとに計算を行い、最終的に共同住宅等の計算結果集計プログラムで棟全体の評価を行う必要があります。
STEP標準計算ルート or 簡易計算ルートを選択する- 標準計算ルート(外皮面積で評価する方法)
-
本プログラムを使用する前に、補助入力ツールである「住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート(エクセルファイル)」を入力する必要があります。
共同住宅の場合はこれを各住戸タイプごとに入力する必要があるため、作業量は膨大です。
平面の違いだけでなく、最上階などは断熱の仕様が異なりますので、外皮の条件の違いの数だけ入力シートを用意しなければなりません。それぞれの住戸ごとに「住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート」への入力が完了したら、それらを一つずつ「住宅・住戸の外皮性能の計算プログラム」にアップロードして自動計算を行なわせる必要があります。
- 簡易計算ルート( 仕様基準 or 誘導仕様基準 で評価する方法)
-
仕様基準を選択した場合は、住戸タイプ毎に「住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート」を作成する必要はありません。
建設省告示「住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準(発令:平成28年1月29日国土交通省告示第266号、最終改正:令和6年6月28日国土交通省告示第975号)」に定められた性能以上の設計を行うだけです。
ちなみにこの告示では、住戸間の界壁の仕様については特に定められていません。
省エネ法仕様基準による外皮適合設計ツール|告示に基づく仕様一覧(準備中)
STEP各住戸ごとにエネルギー消費性能計算プログラムを実行共同住宅の住戸タイプごとに計算を行います。
標準計算ルート(外皮面積で計算)の場合は、「住宅・住戸の外皮性能の計算プログラム」によって得た、外皮面積の合計、外皮平均熱貫流率(UA)、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)、暖房期の平均日射熱取得率(ηAH)を「外皮」の項目に入力します。
簡易計算ルート(仕様基準、誘導仕様基準)の場合は、「外皮」の入力項目はありません。
外皮平均熱貫流率(UA)、平均日射熱取得率(ηAC・ηAH)は告示で定められた数値が自動で入力されます。基本情報、残りの条件である導入する設備(エアコン、給湯器、換気、照明、太陽光発電など)の仕様を入力して計算を実行します。
全ての住戸タイプの計算結果をPDFで出力します。
STEP共同住宅の計算結果集計プログラムで集計する各住戸ごとの計算結果のPDFファイルをすべて「共同住宅の計算結果集計プログラム」にアップロードします。
共用部分の計算結果がある場合は、共用部分専用のアップロード場所がありますので、そこにアップロードします。このプログラムを実行すると住棟全体としての1つの計算結果書(PDF)に一括集約されます。
STEP計算書の正式な提出には「省エネ計算結果登録システム」を使用STEP3で作成した計算書を適判機関に正式に提出するには、「省エネ計算結果登録システム」の利用が必須です。
公式WEBページにアクセスして、「共同住宅の計算結果集計プログラム」で出力した集約計算書(計算結果 PDF)をアップロードして「省エネ適判申請用計算結果PDF(電子割印・刻印付き)の作成」を行います。
省エネ法適合性判定に必要な提出書類・図面一覧
省エネ法の適合性判定にあたって準備すべき基本書類です。
- 省エネ計画書 / 省エネ適合性判定申請書(様式をダウンロードして作成)
国土交通省の案内ページ、または確認申請書を提出する登録判定機関・指定確認検査機関等のホームページからダウンロードしてください。 - 省エネ計算書(WebプログラムやExcel等の計算結果出力シート)
国立研究開発法人 建築研究所の「省エネ計算結果登録システム」で出力した計算結果書類。 - 根拠図面類 ※計算書の根拠となる図面
- 意匠図(配置図、平面図、立面図、断面図、矩計図・仕上げ表など断熱仕様がわかるもの)
- 設備図・機器表(空調、照明、換気、給湯、太陽光等の仕様・能力がわかるもの)
- メーカー技術資料・メーカー仕様書 ※計算書の根拠となる書類
- 断熱材の熱伝導率証明、サッシ・ガラスの開口部仕様書、設備機器のカタログ・仕様書など
自作の限界を見極めて外注を賢く使い分ける「コスパ判断基準」
基本は自作を目指す設計者であっても、物件の条件によっては「外注した方が時間的・金銭的コストパフォーマンスが高い」場面が存在します。
① 省エネ計算書の「自作 vs 外注」コスパ判断基準
省エネ計算の自作or外注の選択基準を、用途別・計算ルート別にコストパフォーマンスを判断基準に評価してみました。
★の数が多いほど外注するメリットが大きいと考えます。
| 建築物の用途 | 計算ルート | 自作の難易度・手間のコスト | 外注費の目安 |
| 戸建て住宅 | 簡易計算 (仕様基準) | ★☆☆☆☆ 図面から仕様をチェックするだけ。慣れれば数時間で完了。 | 約3万〜5万円 |
| 標準計算 (外皮面積ルート) | ★★☆☆☆ 面積拾いや入力シート作成が必要。未経験だと1〜2日またはそれ以上の日数がかかる。 | 約5万〜8万円 | |
| 店舗付き住宅 (併用住宅) | 部分的な簡易計算 (住宅:仕様基準 店舗:モデル建物法) | ★★★☆☆ 全体を一括では計算できない。住宅部分は簡易計算、店舗部分は非住宅用のプログラムで計算し、最後に合算する。 | 約7万〜12万円 |
| 標準計算 (住宅+非住宅) | ★★★★☆ 2つの用途を別々のプログラムで計算し合算する。 | 約10万〜15万円 | |
| 小規模共同住宅 (3階建て・300㎡未満など) | 簡易計算 (仕様基準) | ★★☆☆☆ 住戸タイプの数だけ計算書を作成する必要があるが、設備仕様に違いがなければ、戸建ての延長で対応可能。 | 約8万〜15万円 |
| 標準計算 (外皮面積ルート) | ★★★★☆ 全住戸タイプの外皮面積を追う必要があり、部屋数が多いとかなりの作業量に。 | 約12万〜20万円 | |
| 中規模以上の共同住宅 | 簡易計算 (仕様基準) | ★★★☆☆ 規模が大きくても仕様基準は使えますが、ファイル数が多くなる分作業量は増える。 | 約20万〜40万円 |
| 標準計算 (外皮面積ルート) | ★★★★★ 未経験者が手を出すと、1週間以上通常業務がストップするリスクがある。 | 約30万〜60万円 | |
| 複合用途建築物 (例: 1F店舗/2F〜共同住宅) | 簡易計算 (※一部不可) | ★★★★☆ 規模が大きいため、共同住宅部分の仕様チェックと店舗のモデル建物法の両方を追うのが煩雑。 | 約25万〜45万円 |
| 標準計算 (主要ルート) | ★★★★★ 最高難易度。異なる評価基準(住宅・非住宅)を組み合わせるためパニックに。 | 約40万〜80万円 (規模による) |
②【参考】非住宅の計算手法:「モデル入力法」と「標準入力法」の違い
非住宅物件(店舗・事務所等)を自作・計算する場合、公式Webプログラムで選べる2つの計算手法を押さえておくと判断がスムーズになります。
| 評価項目 | モデル建物法(簡易ルート) | 標準入力法(標準ルート) |
|---|---|---|
| 計算の難易度 | ★★☆☆☆ (比較的易しい) | ★★★★★ (きわめて難解) |
| 拾い出しの作業量 | 圧倒的に少ない 主要な室と、外皮(窓・壁)・設備機器のスペックのみでOK。 | 膨大・緻密 すべての室(物置や廊下まで)の面積、外皮、すべての設備機器の情報を網羅する必要がある。 |
| 図面からの数値抽出 | 外壁や窓の「面積」をサッと拾うだけで入力可能。 | 窓の方位、傾斜角、ひさしの出寸法、隣棟の影の影響まで緻密な計算が必要。 |
| 設備機器の入力 | エアコンや照明の台数・容量(W数)などを主要なものだけ入力。 | すべての機器の型番、定格能力、効率(COP)、制御方式(インバータ等)まで詳細に入力。 |
| 作業時間の目安 (小〜中規模店舗の場合) | 半日〜1日 (慣れれば数時間で完了) | 3日〜1週間 (未経験だとエラーの連発で終わらないリスクあり) |
| 審査機関の手戻りリスク | 入力項目が少ないため、指摘(補正)も少なくスムーズ。 | 入力漏れや整合性チェックで引っかかりやすく、再審査になりやすい。 |
実務での判断ポイント
小〜中規模な非住宅であれば、まずは「モデル入力法で自作」を試み、数値が基準に届かない場合や、データ収集が膨大になる大規模・複合用途物件は「標準入力法(外注)」へ切り替えるのが最も合理的です
③ 外注を活用するメリットとポイント
外注費用(戸建てで3〜7万円、小規模非住宅で10〜20万円程度)がかかるものの、「自作に30時間以上費やして設計業務がストップするリスク」や「審査機関からの厳しい補正対応に追われるストレス」を天秤にかけると、複雑な物件ほど外注化の方が結果としてコストパフォーマンスが高くなります。
「この物件は外注に任せよう」と判断した場合に、失敗しないための依頼方法です。
- 単に計算書を作るだけでなく、審査機関からの指摘対応(質疑応答)まで対応してくれるかを確認する。
- 着工後の変更(軽微な変更)が生じた際のアフターフォロー体制があるか。
現地調査や審査期間の窓口に直接訪れる必要のない省エネ計算は物件の所在地に縛られません。
例えば、都内の物件の省エネ計算を鹿児島の事務所に依頼したとしても特に問題はありません。
見積もりを依頼する際には、物件の所在地や近隣の事務所であることにこだわらず、上記2点の条件を満たせば見積もりの金額を外注先選択の主要な判断材料としても良いと考えます。
④ 省エネ計算を自作または外注する際に用意するべき図面・書類一覧
省エネ計算を外部の専門業者に依頼(または見積もり依頼)する際は、必要な図面や仕様書が揃っているほど見積もりの精度が上がり、計算作業もスムーズに進行します。
計算書を自作する際にも同様です。
基本的には「確認申請に出す図面一式 + 開口部・断熱材の仕様がわかる図面 + 設備の仕様がわかる図面・資料」を揃えて渡すイメージです。
必須となる「意匠図面・基本資料」
外皮性能(断熱・窓)の計算や、建物の床面積・室用途を把握するために必要な資料です。
- 物件概要・仕上表(用途、構造、階数、延床面積、内外装の仕上げ)
- 配置図・平面図・面積表(各階平面図、方位が明記されているもの)
- 立面図(4面分。開口部や庇の位置関係がわかるもの)
- 断面図・矩計図(天井高、階高、断熱材の施工部位・厚みがわかるもの)
- 平面詳細図・展開図(窓・サッシの寸法や位置が細かく確認できるもの)
断熱・開口部(窓・ドア)の性能資料
断熱性能(UA値など)の計算に直接使用する資料です。
- 断熱仕様書・断熱材の技術資料(使用する断熱材の種類、厚み、熱伝導率が記載されたもの)
- サッシ・ガラスの仕様書(開口部仕様書)(サッシのメーカー、型番、ガラス構成、熱貫流率・日射熱取得率の証明書)
設備図面・機器仕様書(設備計算に必須)
一次エネルギー消費量(BEI)を計算するために必要な各種設備の資料です。
設備設計図がない場合でも、選定機器の「メーカー名・型番・能力」がわかる機器表や見積書があれば対応可能です。
- 空調設備: エアコン等の機器表(メーカー、型番、冷暖房能力、APF・消費電力)
- 換気設備: 換気扇・全熱交換器の機器表(換気方式、風量、消費電力)
- 照明設備: 照明器具リスト・姿図(器具の型番、台数、定格消費電力、LED等の種類)
- 給湯設備: 給湯器の仕様書(給湯方式、エコジョーズ・エコキュート等の種別、熱効率)
- その他(導入する場合): 太陽光発電(パネル容量・パワーコンディショナ効率)、昇降機、水栓(節水水栓の仕様)などの資料
外注時のワンポイントアドバイス
設備仕様がまだ一部未確定の場合でも、「仮で標準的な仕様を入れて進めてもらう」ことが可能な外注先も多いです。
仕様の確定を待ちすぎて確認申請が遅れるのを防ぐため、未確定要素がある段階で一度外注先に相談してみるのがおすすめです。
確認申請と連動した失敗しないスケジュール管理
自分で計算する場合も、外注する場合も、共通して最も重要なのがスケジュール管理です。
省エネ計算に関するスケジュールの一例です。
【着工2ヶ月前】 仕様確定・省エネ計算開始(自作作業 or 外注手配)
↓
【着工1.5ヶ月前】確認申請と省エネ適判の「並行提出」
↓
【着工0.5ヶ月前】省エネ適合判定通知書の交付 ➔ 確認済証の交付
↓
【着工】 工事開始
スケジュール遅延を防ぐポイント
- 設備仕様の決定を前倒しする: エアコンや照明の型番・能力が決まらないと計算が完了しません。
- 適合判定の審査期間(1〜2週間)を見込む: 判定機関での審査・補正期間を逆算して申請を出します。
まとめ:自社に合った計算手法と体制を整え、スムーズな省エネ適合へ
2025年4月からの建築物省エネ法改正に伴い、住宅の省エネ適合義務化への対応はすべての設計者にとって避けて通れない課題となりました。
本記事で解説したポイントをおさらいしましょう。
- 公式Webプログラムの活用
-
国立研究開発法人 建築研究所の公式ツールを活用することで、社内でも十分に省エネ計算を完結可能。
- 計算手法の選択
-
「手軽さ重視なら仕様基準」「設計の自由度やコスト最適化なら外皮面積計算」と、プロジェクトに応じて使い分けるのがコツ。
- 効率化の判断
-
計画の規模や社内リソースに応じ、自作と外注(代行)を適切に切り替える体制づくりが重要。
まずは自社の標準的な設計仕様に合わせ、どちらの計算手法が最適かを検討することから始めてみてください
関連記事
- 仕様基準で手軽に適合を確認したい方
-
仕様基準(簡易計算ルート)の具体的な標準仕様(断熱材の厚みや設備仕様など)の確認方法を詳しく解説しています。
[No.3-A] 仕様基準による外皮適合設計の完全マニュアル|告示に基づく具体仕様と設計ポイント(準備中)
- 外皮面積計算を実際に入力・計算してみたい方
-
Webプログラムに入力するための事前準備シートである「住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート」の具体的な作成・入力手順をステップバイステップで解説しています。
[No.3-B] 実践マニュアル|住宅・住戸の外皮性能 計算条件入力シート(Excel)入力マニュアル(準備中)



