株式会社虔山(けんざん)様の立体装飾タイルの紹介です。
株式会社虔山様のタイルはそのほとんどが立体的な形状をした装飾タイルです。
中には、これがタイル?と驚かされるような斬新な発想の製品が多くありますので、その商品ラインナップの一部を紹介したいと思います。
立体装飾タイル ラインナップ|株式会社 虔山(けんざん)
株式会社虔山様は、400年前からの焼き物の町としての歴史を持つ岐阜県土岐市に所在するタイルメーカーです。
ウェブサイトを拝見すると、タイルメーカーというより焼き物工房というイメージがするのですが、創業当時である1960年代は実際に陶器を製作されていたそうで、今でもオンラインショップで購入可能なようです。
虔山様の装飾タイルカタログを拝見すると、多くの商品はタイルという名称ではなく「やきもの」という言葉を使って説明されています。
実際にタイルという括りでは捉えきれない斬新な発想の商品がいくつもあり、それらは虔山様がもともと陶器の製作を手がけていて、そこで培われた発想によって生み出されたものであるだろうと想像できます。
虔山様の多くの装飾タイルの中から、タイルの常識を覆すような驚くべき商品をいくつかピックアップして紹介したいと思います。
タイルスクリーン ラインナップ
虔山様の立体装飾タイルの中には、「タイル」あるいは「やきもの」を積み上げて作り上げる透過性のあるパーテーションの商品シリーズがあります。
タイルの語源を考えれば、これらの商品をタイルと呼ぶには語弊があるかもしれませんが、紹介記事を書くにあたって、大阪弁護士会館などで有名なレンガスクリーンの例に従って、当サイトではこれらの商品をひとまず「タイルスクリーン」と呼ばせていただきます。
タイルスクリーンの施工は、穴が空いたスクリーンタイルに鋼製のパイプやボルトを通し、上下を他の部材へ固定することでパーテーションとしての強度を確保します。
タイルスクリーンを組み上げるには、パイプやボルトの上部からスクリーンタイルを差し込みながら、下から積み上げて施工するしかないわけで、非常に手間がかかる建材ですが、透過性のある軽快な壁面が、実はタイルという重厚で硬質な建材で構成されているという、純粋な驚きを感じる非常に面白いデザインだと思います。
各商品とも、虔山様のウェブサイトに施工要領が記載されていますので、詳しくはそちらをご参照ください。
セラミック スクリーン
「セラミックスクリーン」は、ほぼレンガスクリーンと同様の建材です。
表裏に曲面を持つスクリーンタイルを左右に隙間を残しながら積み上げて壁面を構成します。
タイルの両端には25mmの穴が空いていて、そこにパイプを通すことで部材を固定する仕組みです。
タイルとタイルの接触面には付属の緩衝ゴムを挟み込むことで、スクリーンの水平方向への変形にある程度追従できるようになっています。
ラインナップ
サイズは2種類。
H33mmタイプは4色のカラーラインナップ、H66mmタイプは白1色のみ。
どちらの高さにも端部用役物が用意されています。
緩衝ゴムは付属品です。
主筋にφ21.7mmの丸パイプを使用します。
詳細は虔山様の施工要領書を参照願います。
セラミックスクリーンの透過性がよくわかる写真です。
スクリンーン面のたわみに対応できるように高さ方向に一定間隔でフラットバーが設置されているのが確認できます。
フラットバーの厚みや設置間隔は、敷地や壁面の状況を考慮して、設計者が検討する必要があります。
ポーラス モデル1
「ポーラスモデル1」は、どこかの遺跡から出土した大昔の呪具のような印象を受ける変わった形をしたスクリーンタイルです。
この変わった形のタイルを様々な向きで組み合わせることで、全く印象の異なる洗練された数種類のデザインパターンが生み出せます。
厚さ30mmのウォールタイプと厚さ50mmのスクリーンタイプがあります。
スクリリーンタイプには穴が空いており、そこにボルトを通し接着剤と併用することでスクリーンを組み上げます。
スクリーンタイプの詳細な施工方法が虔山様のウェブサイトに掲載されています。
スクリーンタイプの場合、写真のように高さ方向に一定間隔でフラットバーを通すことで、水平方向と垂直方向のずれとたわみを補正しつつ面剛性を確保できるようです。
スクリーンタイプは、効率的な施工手順や面剛性の確保方法など、設計上検討すべき項目の多いシステムであり、設計者の腕が試される建材と言えるでしょう。
一方ウォールタイプは、通常のタイルと同じように壁面に接着剤で固定していく施工方法です。
このタイルの特性上裏側の接着剤が見えることになるので材料の選定には注意が必要です。
バンブースクリーン
「バンブースクリーン」はその名の通り竹をモチーフにしたタイルスクリーンです。
2つの形状のスクリーンタイル を使い分けていくつかのデザインパターンが生み出せます。
タイルが本来は焼き物であるということを最も感じさせてくれる商品です。
標準カラーは一色のみですが、カタログにはオーダーの透明釉が施された製品が掲載されていました。
タイルの穴にパイプを通して積み上げる構成は他のスクリーンタイル と同じです。
緩衝ゴムが付属していて、タイル同士の接触による破損を防いでくれます。
タイルの組み合わせも重要ですが、水平方向のピッチをどうするかで、見え方にかなり違いがでてくるかと思います。
施工に関する詳細は虔山様のウェブサイトに掲載されている施工要領書を参照願います。
3Dタイル ラインナップ
虔山様の一部の立体装飾タイルは単なる凹凸のあるデザインが施された立体タイルとは全く違った発想でデザインされたものがあり、今回紹介するにあたってひとまずそれらを、真に立体的な形状を持つという意味で「3Dタイル」と呼ばせていただくことにしました。
虔山様の「3Dタイル」は2種類ありますので、順に紹介いたします。
デコ ウォール リーフ
「デコ ウォール リーフ」は断面が三角形の独特な形の3Dタイルです。
壁面に施工されると、パッと見ただけでは、なかなかタイルであるとは気づかなさそうなデザインです。
形状は1種類ですが、積み上げ方のパターンで全く違った表情を持たせることができます。
カラーは2種類です。
色の組み合わせも含めればさらに多くのデザインパターンが考えられます。
虔山様のカタログに掲載されている、貼り方のパターンです。
それぞれのパターンについて㎡あたりに使用されるタイルの数量が示されています。
数字から分かるように、製品の大きさからは想像しにくい大量のタイルを使用しますので、コストには注意が必要です。
バタフライ
「バタフライ」はその名の通り羽を広げた蝶のような形をした3Dタイルです。
形状は1種類ですが、千鳥に配置することで躍動感を感じるような壁に仕上げることができます。
同一方向に並べれば、シャープな立体ストライプを形作ることができそうです。
色は2種類となっています。
立体装飾タイル
ここからは、虔山様の通常の立体装飾タイルを2種類ほどピックアップして紹介いたします。
虔山様の装飾タイルは、そのほとんどの商品がこれら2作品と同じように立体的なフォルムを持ちます。
立体装飾タイル専門メーカーといっても差し支えないかもしれません。
フラワーサークル
「フラワーサークル」は、花びらをモチーフにした丸みを帯びた形状が特徴のタイルです。
形状は1種類で、カラーは4色ですが、貼り方のパターンで数種類のデザインを生み出せます。
ヒシガタ
「ヒシガタ」はエッジの効いた形状が特徴のひし形タイルです。
サイズは1種類で、カラーは3色。
今までのタイルを見た後だと、ごく普通のタイルに思えてしまいますが、微妙な船底形状によって陰影のある立体的なデザインの壁面を作り出すことができます。
貼りパターンの参考例は3種類が掲載されています。
メーカーリンク・関連記事
虔山様の立体装飾タイルのごく一部のみですが、少し詳しく紹介させていただきました。
もともとが焼き物の製作メーカーでもある虔山様の、オリジナリティー溢れるデザインの面白さが伝われば幸いです。
株式会社虔山様のウェブサイトはこちら
虔山様は、ホローブロックも製作されていて、ここで紹介したタイルと同じように、焼き物として製作された商品です。
他のコンクリート製の穴あき化粧ブロックとは違う洗練されたホローブロックとなっていますので、当サイトのホローブロック紹介記事もご参照ください。
虔山様のホローブロックに関する記事はこちらです
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