間仕切用、壁用LGSの各部材寸法・ピッチなどに関する説明です。
間仕切用、壁用LGSの各部材の寸法に関しては、JIS規格品、メーカーの普及品の寸法を一覧表にしています。
また、スタッドの高さに関する規定やスタッドの間隔、開口補強などに関しては「公共建築工事標準仕様書 建築工事編 概要 国土交通省大臣官房官庁営繕部監修 (社)公共建築協会」(以下公共建築工事標準仕様書と呼称)で規定されている仕様をもとに説明しています。
記事の後半では、メーカーの高性能規格品や特殊な用途に用いられる商品なども合わせて紹介しています。
天井用LGSに関する記事はこちらです。
間仕切用 LGS 寸法規格表 [ JIS A 6517 ]
LGS(建築用鋼製下地材|間仕切用)のJIS規格 [ JIS A 6517 ] で定められた寸法規格表です。
JIS規格では、50形、65形、75形、90形、100形があり、主にスタッドの長さにより使い分けられます。
スタッド寸法(JIS規格) | ||||||
区分記号 | JIS規格スタッド記号 | 板厚(t) mm | 基準寸法(A×B)mm | 基準高さ | 使用するランナー | 使用する振れ止め |
50形 | WS-50 | 0.8 | 50×45 | 2.7m以下 | WR-50 | WB-19 |
65形 | WS-65 | 0.8 | 65×45 | 4.0m以下 | WR-65 | WB-25 |
75形 | WS-75 | 0.8 | 75×45 | 4.0m以下 | WR-75 | |
90形 | WS-90 | 0.8 | 90×45 | 4.0m以上4.5m以下 | WR-90 | |
100形 | WS-100 | 0.8 | 100×45 | 4.5m以上5.0m以下 | WR-100 |
ランナー寸法(JIS規格) | |||
区分記号 | JIS規格ランナー記号 | 板厚(t) mm | 基準寸法(A×B)mm |
50形 | WR-50 | 0.8 | 52×40 |
65形 | WR-65 | 0.8 | 67×40 |
75形 | WR-75 | 0.8 | 77×40 |
90形 | WR-90 | 0.8 | 92×40 |
100形 | WR-100 | 0.8 | 102×40 |
振れ止め寸法(JIS規格) | ||
JIS規格振れ止め記号 | 板厚(t) mm | 基準寸法(A×B)mm |
WB-19 | 1.2 | 19×10 |
WB-25 | 1.2 | 25×10 |
各スタッドに対応するJIS規格のスペーサーの記号は、それぞれWS-50、WS-65、WS-75、WS-90、WS-100 となります。
- 50形はボード片面張りの場合に適用する。
- スタッド長さが5.0mを超える場合は特記よる。
間仕切用 LGS 各部材の割付について
間仕切用LGSに関して、スタッドのピッチやその他の部材のピッチについて、公共建築工事共通仕様書に基づいて説明いたします。
公共建築工事標準仕様書に記載の各寸法やピッチはJIS規格品(JIS A 6517)を使用することを条件として定められています。
間仕切用 LGS スタッドの間隔について(公共工事共通仕様書)
間仕切り壁のスタッドのピッチについては面材(プラスターボードなど)の仕様によって規定されています。
公共建築工事標準仕様書に記載の数値が参考になります。
スタッドピッチ(公共建築工事標準仕様書) | ||
面材の仕様 | 標準仕様書に記載の数値 | 設計数値 |
下地貼りがある場合(PB二重張り) | 450mm程度 | 455mm |
仕上げ材直貼りの場合(PB一枚張り) | 300mm程度 | 303mm |
間仕切用 LGS その他の部材の間隔等について(公共工事共通仕様書)
- ランナーは、端部を押さえ、間隔900mm程度に打込みピン等で床、梁下、スラブ下等に固定する。ただし、鉄骨、軽量鉄骨天井下地等に取り付ける場合は、タッピンねじの類又は溶接で固定する。
- 振れ止めは、床面ランナー下端から約1.2mごとに設ける。ただし、上部ランナー上端から400mm以内に振れ止めが位置する場合は、その振れ止めを省略することができる。
- スペーサーは、各スタッドの端部を押さえ、間隔600mm程度に留め付ける。
LGS間仕切 スタッド・各部材のピッチ参考図
LGS間仕切の各部の納まり参考図
LGS間仕切 L字コーナー部・T字交差部の納まり参考図
LGS間仕切のL字コーナー部分・T字交差部分の納まり参考図です。
図はプラスターボード2重張りの場合のものですが、1枚張りの場合はL字部分はスタッドを3本、T字部分はスタッドを4本使うことになります。
天井の野縁に上部ランナーを固定する場合
天井の野縁受けに上部ランナーを固定する場合
LGS 頭部の納まり(断熱材と取り合う場合)
LGS 脚部納まり
2室の天井高さが異なる場合の納まり
間仕切用 LGS 開口補強について
LGS間仕切りの建具や点検口、吹き出し口といった開口部には補強が必要です。
開口部の補強方法と補強材についての解説です。
LGS間仕切壁 開口補強材寸法(公共工事共通仕様書)
開口部の補強材寸法については、公共建築工事標準仕様書に定められています。
開口補強材寸法(公共建築工事標準仕様書) | ||
区分記号 | 開口部補強材 | 開口部補強材取付金物 |
50形 | C-50×30×10×1.6 | L-30×30×3 |
65形 | C-60×30×10×2.3 | |
75形 | ||
90形 | C-75×45×15×2.3 | L-50×50×4 |
100形 | 2C-75×45×15×2.3 |
※ 75形は公共建築工事標準仕様書に記載なし(メーカー標準施工手順による)
※公共建築工事標準仕様書に定められた開口補強材はスタッド寸法より1サイズ小さくなっています。
LGS間仕切に関する開口補強・その他の指針(公共工事共通仕様書)
- 小規模な開口部の補強材はそれぞれ使用したスタッドまたはランナーとする。
- 縦枠開口部補強材は、上は梁・スラブ下の類に達するものとし、上下とも、あと施工アンカー等で固定した取付金物に溶接またはボルトの類で取り付ける。
- 65形(75形)で開口補強材が4.0mを超える場合は、2本抱き合わせて、端部を押さえ、間隔600mm程度に溶接し、組み立てたものを用いる。
- 開口部のために切断されたスタッドは、上下枠補強材にランナーを固定し、これに取り付ける。
開口部廻り納まり参考図
間仕切用 LGS 寸法規格表 [ メーカー普及品 ]
LGS(建築用鋼製壁下地材)のJIS規格以外にメーカーが独自で定めた寸法規格です。
JIS規格にはない40形、45形などがあります。
メーカー規格品はJIS規格品に比べて、板厚、各部材の形状、寸法に微妙な違いがあり、亜鉛メッキ付着量などにも違いがあります。
JIS規格品の開口補強材の寸法がスタッド寸法より1サイズ小さくなっているのに対して、メーカー規格品の開口補強材はスタッドのA寸法と同じ大きさのものが用意されています。
また、各メーカーとも開口補強材のB寸法、厚みも数種類が用意されています。
参考例:間仕切用 LGS メーカー規格寸法
区分記号 | スタッド 基準寸法(A×B)mm | ランナー(A×B)mm | 振れ止め寸法 mm | 開口補強 |
40形 | 40×45 | 42×35 | 19×10 | C-40×20×10×1.6 |
45形 | 45×45 | 47×35 | C-45×30×10×1.2 | |
50形 | 50×45 | 52×35 | C-50×30×10×1.6(1.2) | |
65形 | 65×45 | 67×35 | 25×10、38×12 | C-65×30×10×2.3(1.6,1.2) C-60×30×10×2.3(1.6) |
75形 | 75×45 | 77×35 | C-75×30×10×1.6(1.2) C-75×45×15×2.3(1.6) | |
90形 | 90×45 | 92×35 | C-90×30×10×1.6(1.2) C-90×45×15×2.3 | |
100形 | 100×45 | 102×35 | C-100×30×10×1.6(1.2) C-100×50×20×2.3(1.6) |
※ メーカー規格寸法はランナー、振れ止め、開口補強材寸法などがそれぞれ独自の寸法となっています。
※ スタッドの基準寸法は各メーカーとも同じですが、40形、45形は製作していないメーカーもあります。
※ 各メーカーともスタッド、ランナー、振れ止めの板厚の記載はありません。
LGS 角スタッド 寸法規格表
角形スタッドは、スタッドを閉鎖形状にすることにより振れ止め、スペーサーを省略することができるメーカー独自の規格による製品で、施工性の向上と工期短縮を狙った製品です。
間仕切だけでなく、条件が合えば天井にも使用することができ、小規模な空間であれば壁・天井で下地部材の統一を図れます。
振れ止めがないため、現場での急な変更によるスタッドの追加や撤去がスムーズに行えるのもメリットとなります。
LGS (角形スタッド)メーカー規格寸法 | ||
区分記号 | スタッド 基準寸法(A×B)mm | ランナー(A×B)mm |
20形 | 20×40 | 22×40(片側30) |
25形 | 25×40 | 27×40(片側30) |
40形 | 40×40 | 42×40(片側30) |
45形 | 45×40 | 47×40(片側30) |
50形 | 50×40 | 52×35 |
65形 | 65×45 | 67×40 |
75形 | 75×45 | 77×40 |
90形 | 90×45 | 92×40 |
100形 | 100×45 | 102×40 |
※ 20形、25形は主にふかし壁用(外周壁など)に用いられ、躯体とスタッドを直接固定するためのアジャスターが用意されています。壁裏のふところ寸法はおよそ30mm〜45mmになります。
※ メーカー規格寸法はランナー寸法がそれぞれ独自の寸法となっています。
※ スタッドの基準寸法は各メーカーとも同じですが、40形、75形、90形、100形は製作していない(または受注生産品)メーカーもあります。
※ 各メーカーともスタッドの板厚の記載はありません。
参考例:LGSスタッド壁高さ(支持スパン)の目安
20形、25形LGSのふかし壁への使用参考図
間仕切・ふかし壁用 LGS 高性能・特殊加工製品の紹介
間仕切用LGSは各メーカーとも独自の高性能・特殊加工製品をラインナップしています。
それらの中からいくつかをピックアップして紹介したいと思います。
高さ5m超の間仕切用LGS
板厚の大きな角スタッドを使用し、スタッドのピッチを密にすることで、スタッド長さが5mを超えるような間仕切にも対応できる製品シリーズです。
- 倉庫業法(則第3条の4第2項第2号)に規定される2500N/㎡の荷重に対応した振れ止めなしスタッド工法
- スタッドピッチ227.5mm仕様で壁高さ6500mmまで、スタッドピッチ182mm仕様で壁高さ7500mmまで対応
- 使用スタッドは□-100×45×1.2、ランナーは[-105×40×2.3または[-105×50×2.3、それぞれ受注生産品
- 強化石膏ボード25mmの1枚張りで1時間耐火構造認定の「ソリーダ耐火25」という製品もあります。
- 高さ8000mmで8000Nの加圧試験に耐えたSQ-PowerBar 45100(1.2)という製品もあります。こちらは板厚1.2mmの100形角スタッドに振れ止めを組み合わせてさらに剛性を高めた製品です。
- その他、詳細な仕様はメーカー資料を参照願います
- 桐井製作所 SQ-WALL2500工法(ソリーダ)と同様の製品シリーズです。
- 倉庫業法対応(耐荷重 2500N/㎡)で最大7.7mまで対応しています。
- 桐井製作所 SQ-WALL2500工法(ソリーダ)と同様の製品シリーズです。
高耐食性 間仕切用LGS
屋外や臨海地域、工場施設などの過酷な環境下においても使用可能な高耐食性鋼製下地材です。
各メーカーともに同様の製品をラインナップしていますが、主に溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板製の製品とステンレス製の製品とがあります。
溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板製とステンレス製の商品があります。
スタッドは65形と100形があり、ステンレス製の65形を除いて受注生産品となります。
その他細かい規定がメーカーにより定められていますので、詳細についてはメーカーサイトを参照願います。
溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板製とステンレス製の商品があります。
スタッドは両製品ともに65形と100形がありますが、すべて受注生産品です。
その他細かい規定がメーカーにより定められていますので、詳細についてはメーカーのWEBカタログ(P10、P11)を参照願います。
溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板製(65形、100形)とステンレス製(65形)の商品があります。
その他細かい規定がメーカーにより定められていますので、詳細についてはメーカーサイトを参照願います。
ランナー等のR加工について
曲面の間仕切壁を構成する際や、アーチ形状の曲面天井にランナーを設置する際のランナーや振れ止めのR加工に関してのメーカー資料です。
メーカー規格のLGS間仕切各部材のR加工に関しての桐井製作所様の資料ページです。
各部材のR加工について、作成最長寸法と作成最小内半径が示されています。
メーカー規格のLGS間仕切各部材のR加工に関してのチヨダメタルスタッド関西様の資料ページです。
各部材のR加工について、作成最長寸法と作成最小内半径が示されています。
メーカー規格のランナーのR加工に関しての八潮建材工業様の資料ページです。
ランナーのR加工について、作成最長寸法と作成最小内半径が示されています。
詳細についてはメーカーのWEBカタログ(P9)を参照願います。
乾式壁工法専用LGS(極薄ふかし壁用)
外周壁や躯体間仕切壁のふかし壁にLGS下地を組む場合は、メーカー規格品の40形以下のサイズのLGSが使用されますが、乾式壁工法専用LGSは、壁裏のふところ寸法を極力小さくするための専用スタッドをフォーム材により躯体に接着固定する工法です。
躯体の不陸具合にもよりますが、壁裏のふところ寸法を20〜30mm程度に抑えることが可能です。
スリムスタッド(W45/64×H12×7×t0.6)と呼ばれる専用スタッドと専用ランナー、ウレタン接着剤を使用する乾式壁工法です。
下地厚さ(躯体からボード面までのふところ寸法)は20〜30mmで自由に設定できると記載されています。
RC、PC板、ALC板からウレタンフォーム、スタイロフォーム、金属、木質系ボード類にも接着可能です。
フリースタッド(W45×H11.5×10×t0.6)と呼ばれる専用スタッドと専用ランナー、ウレタン接着剤を使用する乾式壁工法です。
下地厚さ(躯体からボード面までのふところ寸法)は14〜30mmに抑えることができます。
接着剤は最短半日程度で硬化しボード貼りが可能となります。
詳細についてはメーカーのWEBカタログ(P12)を参照願います。
LGS(建築用鋼製下地材)メーカーリスト・関連記事
LGSメーカーリストです。
各メーカーの間仕切用LGS関連ページにリンクしています。
八潮建材工業様の間仕切・壁用LGS下地材のカタログの他に、各部材のCADデータ(DXFファイル)もあります。
桐井製作所様の間仕切・壁用LGSの製品ラインナップページです。
糸久商工様のLGSに関する製品ラインナップページです。(天井用LGSを含む)
各製品のカタログへのリンクがあります。
三洋工業様の間仕切・壁用LGSに関する製品ラインナップページです。
チヨダメタルスタッド 関西様の間仕切・壁用LGSに関する製品ラインナップページです。
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