天井用LGSの各部材寸法・ピッチなどに関する説明です。
天井用LGSの各部材の寸法に関しては、JIS規格品、メーカーの普及品の寸法を一覧表にしています。
各部材の使用条件、各部材のピッチに関する規定や開口補強、段差のある天井や釣りボルトの補強などに関しては「公共建築工事標準仕様書 建築工事編 概要 国土交通省大臣官房官庁営繕部監修 (社)公共建築協会」(以下公共建築工事標準仕様書と呼称)で規定されている仕様をもとに説明しています。
また、特定天井(平成25年国土交通省告示第771号)に対応する商品や、メーカー独自の高性能製品、特殊な用途に用いられる製品なども合わせて紹介しています。
間仕切・壁用LGSに関する記事はこちらです。
天井用 LGS 寸法規格表 [ JIS A 6517 ]
LGS(建築用鋼製下地材|天井用)のJIS規格 [ JIS A 6517 ] で定められた寸法規格表です。
JIS規格では、19形と25形があり、公共建築工事標準仕様書により、基本的に屋内は19形、屋外は25形を使用すると定められています。
LGS天井下地構成部材寸法(JIS規格) | |||||
区分記号 | 構成部材 | 記号 | 板厚(t) mm | 基準寸法(A×B)mm | 基準長さ (m) |
19形 | シングル野縁 | CS-19 | 0.5 | 25×19 | 4.0m、5.0m |
ダブル野縁 | CW-19 | 0.5 | 50×19 | ||
野縁受け | CC-19 | 1.2 | 38×12 | ||
25形 | シングル野縁 | CS-25 | 0.8 | 25×25 | |
ダブル野縁 | CW-25 | 0.8 | 50×25 | ||
野縁受け | CC-25 | 1.6 | 38×12 |
- 吊りボルト 外形φ9.5mm
- ナット 2面幅 17mm 高さ8mm
- ハンガ 板厚2.0mm以上
- クリップ 板厚 19形 0.6mm以上 / 25形 0.8mm以上
- シングル野縁ジョイント 板厚 0.5mm以上
- ダブル野縁ジョイント 板厚 0.5mm以上
- 野縁受けジョイント 板厚 1.0mm以上
天井用 LGS 吊りボルト・野縁受け・野縁の割付について
吊りボルト・野縁受けのピッチについては公共建築工事標準仕様書に記載があります。
吊りボルト・野縁受けのピッチ(公共建築工事標準仕様書) | ||
中央部ピッチ | 周辺部 | |
吊りボルト | 900mm程度 | 端部より150mm以内 |
野縁受け | 900mm程度 | 端部より150mm以内 |
野縁のピッチについては面材(プラスターボードなど)の仕様によって規定します。
同じく公共建築工事標準仕様書に記載の数値が参考になります。
野縁ピッチ(公共建築工事標準仕様書) | ||
面材の仕様 | 野縁ピッチ | ダブル野縁ピッチ |
下地貼りがある場合(PB捨て張り) | 360mm程度 | 1,800mm程度 |
仕上げ材直貼りの場合(PB一枚張り等) | 300mm程度 | 900mm程度 |
ボードの1辺が450mm程度の直貼り | 225mm程度以下 | 450mm程度以下 |
金属成形板の場合(スパンドレル等) | 360mm程度 | ー |
吊りボルト・野縁受け・野縁の割付参考図
天井用 LGS 開口部・段差・その他の補強方法について
天井開口等、補強が必要な箇所に関する指針(公共工事共通仕様書)
- 照明器具、ダクト吹出し口等の開口のために、野縁又は野縁受が切断された場合は、同材で補強する。また、ダクト等によって、吊りボルトの間隔が900mmを超える場合は、補強を行う。補強方法は、特記による。
- 天井点検口等の人の出入りする開口部は、野縁受と同材で取付け用補材を設けて補強する。
- 下地張りがなく野縁が壁等に突き付く場合で、天井目地を設ける場合は、厚さ0.5mm以上のコの形又はL形の亜鉛めっき鋼板を、野縁端部の小口に差し込むか又は添え付けて留め付ける。また、下地張りがなく壁に平行する場合は、端部の野縁をダブル野縁とする。
- 野縁は、野縁受から150mm以上はね出してはならない。
- 下がり壁、間仕切壁等を境として、天井に段違いがある場合は、野縁受と同材又はL-30×30×3(mm)程度で、間隔2.7m程度に斜め補強を行なう。
- 天井のふところが1.5m以上の場合は、補強用部材又は[-19×10×1.2(mm)以上を用いて、吊りボルトの水平補強、斜め補強を行うこととし、補強方法は、特記による。特記がなければ、次による。
- 水平補強は、縦横方向に間隔1.8m程度に配置する。なお、水平補強は、吊りボルトに適切な方法で接合する。
- 斜め補強は、相対する斜め材を1組とし、縦横方向に間隔3.6m程度に配置する。なお、斜め補強は、吊りボルトに適切な方法で接合する。
- 天井のふところが3mを超える場合の補強は、特記による。
天井開口等補強部参考図面
前項目の補強方法を補足するための参考図面です。
前項目の番号に対応する図面を順に紹介いたします。
❶ ❷ 天井開口補強方法参考図
❺ 天井に段違いがある場合の補強方法参考図
❻ 天井ふところ1,500mm以上3,000mm以下の場合の補強方法参考図
❸ ❻ 天井周辺部および天井ふところ1.5m以上3m以下の場合の補強方法参考詳細図
天井用 LGS 寸法規格表 [メーカー普及品 ]
メーカー普及品の天井用LGS部材寸法表です。
メーカー普及品の野縁は19形のみが用意されていて、代わりに野縁受けとなるチャンネルが複数の寸法規格でラインナップされています。
寸法の小さい野縁受け(チャンネル)は主に天井ふところが小さい場合に専用の小型ハンガーと共に使用されます。
屋外天井用のLGSは別途耐風圧天井用LGSや高耐食性の製品、がありますので、そちらを参照してください。
LGS天井下地構成部材寸法(メーカー普及品) | |||
分類 | 野縁|チャンネル | 基準寸法(A×B)mm | 備考 |
19形普及品 | シングルバー | 25×19 | |
ダブルバー | 50×19 | ||
チャンネル38 | 38×12 | 一般的な野縁受け | |
その他野縁受け | チャンネル19 | 19×10 | 天井ふところが狭い場合用 |
チャンネル25 | 25×10 | 天井ふところが狭い場合用 | |
[-40×20×1.6 | 40×20 | 高強度な野縁受けとして使用 | |
吊りボルト | 3/8″ 吊りボルト | φ9.5mm |
※ 八潮建材工業様のチャンネル38用のハンガーには、脱落防止のボルト付き、勾配天井用、ふところが狭い天井用、防振ハンガーなどが用意されています。詳細は八潮建材工業様のカタログ(P9〜11)を参照願います。
※ チャンネル19、25には専用の小型ハンガーが用意されています。
※ 八潮建材工業様には、さらに高強度な野縁受けとしてH60~100mmのライトゲージ(リップ溝形鋼)と専用のクリップが用意されています。
※ 各メーカーとも、チャンネルやハンガーには独自のラインナップがありますので詳細は各メーカーの資料を参照願います。
※ 各メーカーとも野縁の板厚の記載はありません。
天井用 LGS 高性能・特殊加工製品の紹介
天井用LGSは各メーカーとも独自の高性能・特殊加工品をラインナップしています。
それらの中からいくつかをピックアップして紹介したいと思います。
高耐食性 天井用下地材
屋外や臨海地域、工場施設などの過酷な環境下においても使用可能な高耐食性鋼製下地材です。
各メーカーともに同様の製品をラインナップしていますが、主に溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板製の製品とステンレス製の製品とがあります。
溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板製とステンレス製の商品があります。
野縁は19形と25形があり、野縁受けは38形で複数の板厚が用意されています。
詳細についてはメーカーサイトを参照願います。
溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板製とステンレス製の商品があります。
野縁は19形と25形があり、野縁受けは38形で複数の板厚が用意されています。
詳細についてはメーカーのWEBカタログ(P12、P13)を参照願います。
溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板製とステンレス製の商品があります。
野縁は19形と25形があり、野縁受けは38形で複数の板厚が用意されています。(t=1.0mm以外は受注生産品)
詳細についてはメーカーサイトを参照願います。
耐風圧天井LGS
主に軒天やピロティー、消火設備が設置された天井など、下からの負荷による野縁受けの脱落防止、吊りボルトの座屈防止などの機能を持ったLGS天井下地です。
各メーカーとも同様の製品ラインナップがあります。
桐井製作所様の耐風圧天井TOBANは軒天やピロティーなど下からの風圧を受ける天井に対応した製品です。
25形の野縁に野縁受けの脱落防止機能を持ったハンガー、野縁固定用の耐風圧クリップ、吊りボルトの座屈防止用の圧縮補助材、水平補強材などによって構成されています。
さらに、耐風圧性能に加え、耐震、防振性能を併せ持った耐風圧天井TOBAN(耐震・防振タイプ)もあります。
詳細については桐井製作所様のカタログを参照願います。
八潮建材工業様の耐風圧天井についての詳細ページです。
風圧力と地震力に対応するYSRシリーズと25形の野縁を使用した25形仕様があります。
詳細についてはメーカーの詳細ページを参照願います。
三洋工業様の耐風圧天井下地「SICS 耐風圧」の詳細ページです。
天井ふところが極端に狭い場合の専用LGS
天井をメーカー普及品のLGSで組む場合、最も小さい19形チャンネルと専用の小型ハンガーを用いても、最低でも65mm程度の天井ふところが必要です。
天井ふところが狭い場合のLGSの納まり参考図
各メーカーとも、天井ふところがさらに狭い場合にも対応できる商品のラインナップがありますので、そちらを紹介いたします。
どのメーカーの商品とも、角形スタッドを天井下地に使用することで、天井ふところが50mmを切るような場所にもLGS天井を組むことが可能となるというのが共通の特徴です。
桐井製作所様のSQ-BAR(CEILING SYSTEM)を例に説明します。
桐井製作所のSQ-BAR(CEILING SYSTEM)は、角形スタッドとランナーを用いて廊下やトイレなどのスパンの短い場所に吊りボルトなしでLGS天井下地を組むことができる商品です。
適用スパンを超えるような場合は、角スタッドを直接吊りボルトで吊るための金具も用意されていて、通常の野縁受けを介して吊る方法よりも必要な天井ふところ寸法を小さく抑えることができます。
メーカーのカタログには記載されていませんが、最も小さい角スタッドW40×H20を吊りボルトなしで使用した場合は、不陸を考慮しても30〜35mm程度の天井ふところ寸法、吊りボルトがある場合でも40~45mm程度に抑えることができるかと思います。
詳細については桐井製作所様に直接お問い合わせください。
このように小さい天井ふところ寸法だと、埋め込み形の照明などが直接スラブに干渉してしまうので、むしろそちらに注意を向けるべきかと思います。
桐井製作所のSQ-BARと同様の商品です。
角形スタッドの大きさによる適用スパンの寸法は桐井製作所様の寸法とは若干異なります。
詳細についてはメーカーのWEBカタログを参照願います。
桐井製作所のSQ-BARと同様の商品です。
角形スタッドの大きさによる適用スパンの寸法は桐井製作所様の寸法とは若干異なります。
詳しくは三洋工業様のカタログを参照願います。
曲面天井用のLGS下地について
アーチ形の曲面天井を構成する際の野縁受けのR加工についてのメーカー資料です。
曲面天井を構成する際の野縁受けのR加工に関しての桐井製作所様の資料ページです。
野縁受け(チャンネル)の作成最小内半径が示されています。
小さい部材ほど半径を小さくできます。
曲面天井を構成する際の野縁受けのR加工に関してのチヨダメタルスタッド関西様の資料ページです。
野縁受け(チャンネル)の作成最小内半径が示されています。
曲面天井を構成する際の野縁受けのR加工に関しての八潮建材工業様の資料ページです。
野縁受け(チャンネル)の作成最小内半径が示されています。
詳細についてはメーカーのWEBカタログ(P11)を参照願います。
特定天井用のLGS製品
平成25年国土交通省告示第771号に定められた特定天井に対応する商品です。
特定天井:以下の条件をすべて満たす天井
- 居室・廊下その他の人が日常立ち入る場所に設けられるもの
- 高さが6mを超える天井の部分で、その水平投影面積が200㎡を超えるものを含むもの
- 天井構成部材等の単位面積質量が2kg/㎡を超えるもの
特定天井に対応した天井下地組には大きく分けて2つの方法があります。
- 1:耐震補強の方針「ブレース+クリアランス」
-
- 天井裏に斜め部材(ブレース)を配置する
- 天井周辺の壁際にクリアランスを確保
- 天井材の緊結
- 3つの設計ルートがある
- 仕様ルート(H25年告示基準)
- 計算ルート(水平震度法)
- 計算ルート(簡易|応答スペクトル法)
※ 計算ルートの詳細については省略します
- 2:耐震補強の方針「壁持たせ(クリアランスなし)」
-
- 天井周辺に地震力を受けられる壁を配置する
- 斜め部材(ブレース)はなし
- 天井周辺の壁際のクリアランスはなし
- 天井材の緊結
- 設計ルートは仕様ルート(H28年告示基準)のみ
各メーカーの特定天井へ対応した製品を紹介いたします。
耐震天井 (ブレース+クリアランス)仕様:「SZⅡ特定耐震天井」
耐震天井 (クリアランスなし)仕様:「SZNC」
耐震天井 (ブレース+クリアランス)仕様:「新耐震Full Power天井」、「新耐震DELTA Power天井]など
耐震天井 (クリアランスなし)仕様:「緊結在来天井」
八潮建材工業様の特定天井対応製品のラインナップページです。
ルーバー専用LGS天井下地
八潮建材工業様のルーバー専用LGS下地材と専用ルーバーを組み合わせた製品です。
野縁そのものに黒色の耐食塗装が施されていて、そのままルーバー仕上材になっています。
下地材も同じ黒色耐食塗装が施されていて、ルーバー裏のLGS下地が目立たないようになっています。
クリップ仕様と曲面天井を構成できるストリンガー仕様のラインナップ。
桐井製作所様の耐震性を備えたルーバー専用LGS下地材です。
ルーバーは木目調の全7色で、アイカ工業のオルティノを使用しています。
三洋工業様の天井ルーバーシステムです。
野縁そのものが木目調ルーバーになっているものと、野縁に木目調の角スタッドを取り付けるタイプがあり、角スタッドは2種類の大きさがあります。
木目のカラーも3種類がラインナップ。
下地となる野縁、野縁受け、釣りボルト、その他の部材は目立たないように黒色塗装が施されています。
LGS(建築用鋼製下地材)メーカーリスト・関連記事
LGSメーカーリスト
LGSメーカーリストです。
各メーカーとも、紹介した製品以外にも様々な用途や特殊加工を施した製品をラインアップしています。
ぜひ、各メーカーのWEBサイトを覗いてみてください。
八潮建材工業様のLGS下地材ラインナップページ(間仕切用LGSを含む)です。
桐井製作所様の天井用LGSの製品ラインナップページです。
糸久商工様のLGSに関する製品ラインナップページです。(間仕切用LGSを含む)
各製品のカタログへのリンクがあります。
三洋工業様の天井用LGSに関する製品ラインナップページです。
三洋工業様の耐震関連製品(天井用)のラインナップページです。
チヨダメタルスタッド 関西様の天井用LGSに関する製品ラインナップページです。
関連記事
カテゴリー別 関連記事
-
構造・躯体・下地材間仕切用LGS(鋼製壁用下地材)JIS規格・メーカー普及品寸法一覧間仕切用、壁用LGSの各部材寸法・ピッチなどに関する説明です。 間仕切用、壁用LGSの各部材の寸法に関しては、JIS規格品、メーカーの普及品の寸法を一覧表にしています…
-
構造・躯体・下地材木材・木構造用製材・構造用集成材・木下地材・造作材 寸法規格一覧木造の構造材・構造用集成材・下地用木材・造作材・2×4材の寸法規格一覧ページへのリンク集です。木造住宅などの設計の際の設計メモとしてご利用ください。 – 2016年9月…
-
建築設計・法規メモダクト式換気扇の圧力損失計算(等圧法)の解説と摩擦抵抗線図の見方以前の記事「ダクト式換気扇の圧力損失計算(簡略法)と静圧ー風量特性曲線の見方」では、ダクトの圧力損失計算(簡略法)について解説しましたが、今回は圧力損失計算…
-
キッチン・浴室・水廻り設備フードの設計メモ|熱量・フード断面積から必要排気量を計算する方法今回の記事は火気使用場所のレンジフードの排気量計算に関する設計メモです。 店舗設計における厨房機器や、住宅のキッチンの加熱機器の熱量に基づく必要排気量の計算方…