東京都内で3階建て以上(地階を除く)かつ500㎡超の建築物を建築する際に、着工前に提出が必要な書類に関する設計メモです。
延べ床面積や行政庁によっては提出を必要としない場合があったりと非常にややこしいので設計メモとして出来るだけわかりやすくまとめておきたいと思います。
※ 必ず行政庁や審査機関にご自身で確認を行った上で、書類作成や提出を行っていただきますようお願いいたします。
目次
建築工事施工計画報告書・鉄骨工事施工計画報告書
東京都内の3階建て以上(地階を除く)かつ延べ床面積500㎡超の建物で提出が必要
「建築工事施工計画報告書」は東京都内(一部地域を除く)で、3階建て以上(地階を除く)かつ延べ床面積500㎡超の建築物(建築基準法第6条第1項三号に規定する建築物)を建築する際に、着工前に行政庁に提出する必要がある書類です。
工事監理者と施工者の連名で提出しますが、内容的にはコンクリート工事の詳細に関するものなので施工者が作成し、監理者の承諾を得て施工者あるいは監理者が行政庁に提出する書類かと思われます。
書類の内容には以下のようなものが含まれます。
- 工事の概要
- コンクリートの使用材料及び施工
- コンクリートの設計及び仕様による条件
- コンクリート試験計画及び鉄筋試験・検査計画一覧
- レディーミクストコンクリー卜工場一覧
都内の工事に慣れていない施工者だと「建築工事施工計画報告書」の存在自体知らない可能性もありますので、図面の特記仕様書内に作成・提出の必要性を明記する等の配慮が必要かと思われます。
なお、鉄骨工事がある場合には別様式の「鉄骨工事施工計画報告書」の提出が必要です。
「鉄骨工事施工計画報告書」はその名の通り鉄骨工事に関するもので、内容的には以下のようなものが含まれます。
- 鉄骨工事の概要
- 使用鋼材
- 溶接に関するもの
- 高力ボルト接合に関するもの
- 試験・検査の計画
建築工事施工計画報告書|鉄骨工事施工計画報告書 提出先一覧
「建築工事施工計画報告書」・「鉄骨工事施工計画報告書」の提出先は、延べ面積や、確認申請の審査を行政庁が行ったか民間審査機関が行ったかによって変わります。
提出自体が不要の場合もありますので以下の表を参考にしてください。
行政庁|延べ床面積 | 提出先 |
---|---|
23区内の延べ床面積10,000㎡超の建築物および島しょ | 東京都都市整備局市街地建築部建築指導課 |
23区内の延べ床面積10,000㎡以下の建築物 (港区・世田谷区を除く) | それぞれの区役所 |
港区(延べ床面積10,000㎡以下) | 書類提出は不要 |
世田谷区(延べ床面積10,000㎡以下) | 区役所(行政で確認申請を行った場合のみ必要) |
八王子市・武蔵野市・三鷹市・府中市・調布市・町田市 日野市・立川市 | それぞれの市役所 |
国分寺市 | 市役所(行政で確認申請を行った場合のみ必要) |
昭島市・国立市・狛江市・東大和市・武蔵村山市・多摩市・稲城市 | 東京都多摩建築指導事務所建築指導第一課(立川合同庁舎) |
西東京市・小平市・東久留米市・東村山市・清瀬市・小金井市 | 東京都多摩建築指導事務所建築指導第二課(小平合同庁舎) |
福生市・青梅市・あきる野市・羽村市・瑞穂町・日の出町 奥多摩町・桧原村 | 東京都多摩建築指導事務所建築指導第三課(青梅合同庁舎) |
なお、民間審査機関では、中間検査時に「建築工事施工計画報告書」の写し(行政庁の受領印のあるもの)の提出を求められます。
リンク|提出書類様式入手先
「建築工事施工計画報告書」・「鉄骨工事施工計画報告書」は、東京都都市整備局のWebサイトあるいは、公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンターのWebサイトよりダウンロードできます。
東京都都市整備局 Webサイト 「東京都建築基準法施行細則様式」
※ 施工結果報告書と間違えないようにご注意ください。
公益財団法人 東京都 防災・建築まちづくりセンターのWebサイト「確認検査等書類」
なお、「建築工事施工計画報告書」提出の根拠となる法文は東京都建築基準法施行細則第14条です。
中間検査・完了検査時に提出が必要な「建築工事施工結果報告書」・「鉄骨工事施工結果報告書」・「建築設備工事監理状況報告書」に関しては次回の記事でまとめようと思います。